株式会社 Fixstars Amplify(代表取締役社長 CEO:松田 佳希)は、ドイツの量子スタートアップ企業であるQUDORA Technologies GmbH(以下、QUDORA社)と日本で初めてのパートナーシップを締結し、QUDORA社の量子コンピューティング環境「QUDORA Cloud」を最適化クラウドサービス「Fixstars Amplify(以下、Amplify)」の標準マシンに追加しました。Fixstars Amplifyは、QUDORA社の優れた量子コンピューティング環境をサポートすることで、最適化と量子技術の社会実装をより一層推進いたします。
先進的なイオントラップ型量子コンピュータを最適化に応用
QUDORA社は、独自のNFQC®テクノロジー[1]と自社チップ製造を融合させ、欧州で最も先進的なイオントラップ型システムを提供している、ドイツを代表するフルスタック量子コンピューティング企業です。2027年までに稼働が予定されている50量子ビットシステムは、優れた忠実度(フィデリティ)[2]を持つ独自の長寿命「クロック量子ビット」を活用しており、すでに60秒を超える驚異的なコヒーレンス時間を実証しています。この長寿命量子ビットの特性により、QAOA(量子近似最適化アルゴリズム)[3]をはじめとする最適化アルゴリズムの計算精度が、従来の実機に比べて飛躍的に向上することが期待されます。なお、同システムは200量子ビットへの拡張が計画されています。
組合せ最適化問題を統一的に扱う開発ライブラリ「Fixstars Amplify SDK」と、量子最適化アルゴリズムをサポートする拡張機能「Amplify Quantum」を用いることで、ユーザーはQUDORA社の量子計算リソースを使って、QAOAをはじめとしたさまざまな量子最適化アルゴリズムの研究開発を行うことができるようになりました(*)。
* Amplify SDKバージョン1.6以上およびAmplify Quantumバージョン1.1以上が必要です。
「Qamelionエミュレータ」の提供開始
実機稼働に先立ちQUDORA社から提供される「Qamelion(カメレオン)エミュレータ」は、実機の物理的特性を忠実にシミュレートします。ユーザーは実機リソースを待つことなく、Amplify SDKを通じて即座に次世代の計算環境を体験することが可能です。
Fixstars Amplifyは、Qamelionエミュレータを用いた評価・検証を支援するため、Qamelionエミュレータ用のトークンを提供開始します。アクセストークンのページから利用申請を行うことで、Fixstars Amplifyのクラウドを通じてQamelionエミュレータの利用を開始できます。エミュレータはお一人様1時間(**)まで無償利用可能です。
** 1時間の枠を超えて利用したい場合は別途お問い合わせください。
代表取締役社長 CEO 松田佳希コメント
このたび、QUDORA社とパートナーシップを締結し、その優れたイオントラップ型量子コンピューティング環境をAmplifyに統合できることを大変嬉しく思います。
QUDORA社独自のNFQC®テクノロジーは、QAOAなどのハイブリッドアルゴリズムの計算精度を飛躍的に向上させるものです。特に、数千〜数万量子ビットへの拡張性(スケーラビリティ)は、実用的な量子コンピューティング実現の鍵となると期待されています。
Amplifyは、「最先端技術で、最適な答えを。社会を、もっと賢く。」というビジョンの下、今回の連携により次世代量子計算環境へのゲートウェイとしての価値の拡充を目指しています。QUDORA社との連携により革新的な技術を積極的に取り込み、量子技術の産業応用と社会実装を力強く推進してまいります。
Dr. アマド・バウティスタ QUDORA社 CEO&Co-Founder コメント
Fixstars Amplify社と提携し、当社の量子コンピューティング・ソリューションへのアクセスを拡大できることを大変光栄に思います。QUDORA社が誇る卓越したイオントラップ型量子ビットの品質およびコヒーレンス時間と、Fixstars Amplify社の優れた最適化機能およびインフラを組み合わせることで、ユーザーは研究から産業利用まで、あらゆる分野で量子アプリケーションをより効果的に開発し、実運用に繋げることが可能になります。日本はQUDORA社にとって極めて重要な市場であり、今回の提携はこの地域における当社の存在感を強固なものにします。Fixstars Amplify社は、複雑な計算問題に量子技術を適用するという我々の理念を共有するパートナーです。そうした問題の解決において、基盤となるシステムのパフォーマンスと信頼性は、今後も決定的に重要であり続けるでしょう。
QUDORA Technologiesについて
2021年に設立されたQUDORA社は、イオントラップ型量子コンピュータの開発および展開をリードするドイツのフルスタック量子コンピューティング企業です。 独自のNFQC®テクノロジーにより、精密な量子ビット制御と極めて長いコヒーレンス時間を実現し、スケーラブルかつ高性能な量子システムの構築を可能にします。当社は、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)センターへのオンプレミス設置、およびセキュアなクラウド環境の両方を通じて量子コンピュータへのアクセスを提供しており、欧州およびアジアの主要な産業界・研究機関のパートナーと共に、量子計算の実用化を推進しています。 https://qudora.com/
株式会社Fixstars Amplifyについて
量子・AI・GPUなどの最先端技術を活用し、複雑な社会課題に挑む「最適化クラウドサービス」を提供しています。「最先端技術で、最適な答えを。社会を、もっと賢く。」というビジョンを掲げ、量子ゲートや量子アニーリングを含む多様なソルバーを統一的に扱える「Fixstars Amplify SDK」と、自社開発の高性能ソルバー「Fixstars Amplify AE/SE」を開発・提供しています。登録組織数は1,100を超え、累計実行回数は1.3億回を突破(2026年5月13日現在)しており、幅広い分野での社会実装を力強く推進しています。 https://amplify.fixstars.com/
注 1: NFQC®(Near-Field Quantum Control)テクノロジー
マイクロ波を用いたQUDORA社独自の量子ビット制御機構です。従来のイオントラップ型システムが外部からの巨大なレーザー光学系に依存するのに対し、近傍磁場(Near-Field)を利用して量子ビットを制御します。これにより光学系の複雑さを排除し、半導体微細化技術と親和性の高い制御系を構築できるため、数千〜数万量子ビット規模への拡張(スケーラビリティ)において決定的な優位性があります。
注 2: 忠実度(フィデリティ)
量子コンピュータにおいて、量子ビットの操作や計算結果が、理想的な(エラーのない)状態と比べて「どの程度正確であるか」を示す指標。最大値は1(または100%)であり、この数値が高いほどノイズやエラーが少なく、計算精度が高いことを意味します。実用的な量子コンピュータを実現するための極めて重要な性能評価基準となります。
注3: 量子近似最適化アルゴリズム (QAOA)
膨大な選択肢の中から最適な解を見つけ出す「組合せ最適化問題」を解くために考案された量子アルゴリズムの一つです。現在のノイズを伴う過渡期の量子コンピュータ(通称NISQ)でも動作するように設計されており、将来的に物流のルート最適化、金融ポートフォリオの構築、新素材探索など、幅広い社会課題の解決に応用されることが期待されています。