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Fixstars Amplify ユーザー

高畠 和輝

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部
データ事業推進部 新規事業開発担当

弊社では量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+decoration」を開発・提供しています。

金融取引の最適化、産業用ロボットの動作の最適化、移動経路や送電経路の最適化、創薬のための分子設計など、社会や産業における課題の多くは、膨大な選択肢から最適なものを選び出す組合せ最適化問題に帰着します。SQBM+はこうした問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得ることを可能とするソフトウェアです。

Fixstars Amplifyは以前よりSQBM+をソルバーとする計算実行に対応していましたが、私自身はQ-STARdecoration(量子技術による新産業創出協議会)におけるユースケース創出活動の一環で初めて利用しました。

具体的に取り組んだ問題は以下の2つです:

  • 物理化学分野の実問題を数千変数程度のQUBOとして定式化し、主にSQBM+で実行
  • 他社が定式化した、金融分野の実問題由来の数万変数程度のイジング問題を、主にSQBM+で実行

Fixstars Amplifyを実際に利用してみて、ソルバー部分を切り替えるだけで様々なイジングマシンを試すことができる点が非常に便利でした。特に大規模な問題では各マシンの特性によって計算結果に差が出ます。こうした現象に気づけたのも、1つの定式化(Pythonプログラム)で様々なマシンを手軽に試せるFixstars Amplifyの環境があればこそだと思いました。

また、少しSDKの詳細になりますが、QUBO形式とイジング形式の相互変換機能decorationがサポートされている点も助かりました。前述のとおり、他社の定式化を取り込むような場合には有用ですし、問題に応じてどちらの形式が自然な表現かが違いますので、プログラマの負担を軽減する機能だと思います。

プログラマにとって、Web上のリファレンスやデモプログラムが充実している点も重要です。私も短時間で上手く利用方法を学習することができました。

今回、短期間でしたがSQBM+とFixstars Amplifyを組み合わせて利用し、両者の相性の良さを実感することができました。今後も機会があれば、弊社のお客様にもお勧めしていきたいですね。

*本記事の掲載内容は全て取材時(2023年5月)の情報に基づいています


参考資料
論文名