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個別指導塾向けのコマ組の
自動化アプリ「塾コマ」の開発

プロジェクトメンバー

株式会社FicyTechnology、株式会社NTTドコモ
福田 修之 様

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取り組んだ内容

2023年度の未踏ターゲット事業を通して、個別指導塾の生徒と講師の授業のシフトを作成する作業(コマ組み作業)を自動化するサービスの開発に取り組みました。個別指導塾では、夏期講習期間のコマ組み作業に数日から数週間もの時間を費やしています。大きな負担のかかるタスクですが、組み合わせが膨大であるため、これまで自動化が進んでいませんでした。この課題をアニーリング技術によって解決できるかどうかを検証しました。

組合せ最適化問題の概要

個別指導塾における講師と生徒の割当問題です。個別指導塾では、各塾ごとに、1回の授業において講師1人が生徒を最大何人受け持つことができるかが決まっており、多くの塾では、運営コストや利益の観点から、1人の講師にできるだけ多くの生徒を割り当てるようにしています。今回は、生徒と講師が連続のコマで出席できるようにしたり、生徒と講師の相性などを考慮しつつ、講師のコストが最小となるようなコマ組みを行うサービスを開発しました。

決定変数

講師 ×科目 × 生徒 × 日にち × 時間の5次元(授業を実施する場合は1、しない場合は0)

決定変数のイメージ

日時
4月1日 4月2日
生徒 科目 講師 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 14:00 15:00 ・・・
生徒0 国語 講師A
講師B
講師C
講師D
講師E
数学 講師A
講師B
講師C
講師D
講師E
理科 講師A
講師B
目的関数
  • 講師の人件費の最小化
  • 講師と生徒が連コマで出席できるようにする
  • 生徒と講師の相性
  • 生徒の授業を連日で設定しないようにする、等
制約条件
  • 生徒の申し込みコマ数分だけ授業を実施する
  • 教室のスペース
苦労した点

今回の問題設定では、講師の人件費を抑えることを第一条件としているものの、講師に連続したコマを割り当てることや生徒と講師の相性など、実際の塾運営に必要な要素も考慮しないといけないため、多目的最適化の係数の調整の部分で苦労しました。各目的関数の値を規格化して同一スケールにすることで、人件費に対する他の要因の重み付けを塾側で調整できるように設計しました。

今後の展望

より多くの塾にトライアルとして使っていただき、製品をブラッシュアップしていきたいと思っています。今の定式化では、問題規模が大きくなると解けなくなってくるため、0埋め・1埋めをより効果的に活用して決定変数の数を減らしたり、問題分割を検討する必要もあると思っています。

嬉しかった点

Fixstars Amplifyでは、ミドルウェアとソルバーの両方を提供しており、一般ユーザであれば無料で利用できるため、量子アニーリング技術に興味を持った時に、手軽に始められるのがとてもよかったです。ミドルウェアとしては、他のソルバーも手軽に利用できるので、精度比較などの点で非常に助かりました。

見ている方に一言

組合せ最適化問題は、定式化や実装など専門性が必要な部分もありますが、一度“最適化の型”を作ってしまえば、自社で保有するデータや、それらを元に機械学習などで予測した結果をその型に流し込むことで、お客様や自社にとって価値のある結果が出てくるので、是非とも多くの人に取り組んで欲しいです。取っ付きにくい難しい技術としてではなく、データを流し込めば価値が溢れて出るような仕組みを作る技術として広まっていけばいいなと思っています!なお、今回開発したサービスのウェブサイトは以下になります。よろしければ見てみてください!
https://ficy-tech.com/aboutzyukukoma decoration

*本記事の掲載内容は全て取材時の情報に基づいています

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